もの食う人びと(辺見 庸)
平成9年に初版発行された「もの食う人びと(辺見 庸)」という本を紹介します。
現在の先進国やそれに準ずる国では、飽食が文化とし定着しているが地域紛争や飢餓に苦しむ国が
ある事も事実。
そんなギャップをえぐり出すと言う事ではなく、世界のあらゆる地域での一般的かそれ以下の食生活
をルポするという本です。
本を開くと「旅立つ前に」という項から始まる。
食べる営みから見える世界の変化に触れるために旅立つとある。
自身の事を、飽食に慣れ、わがまま放題で、忘れっぽく、気力に欠け、万事に無感動気味の、だらりぶら
下がった舌と胃袋をいじめたくなった。
そして忘れかけている味、怒りの味、憎しみの味、悲しみの味を思い出したくなったとある。
なるほどと思い、第一遍は「残飯を食らう」から始まる。
当時のダッカには金持ちが食べ残した食事の市場があり、それは残飯市場といって駅など人の集まる
ような場所で売られているらしい。
強烈な内容から始まるのであります。
何とも言えない、しかし興味の沸く内容だと思いますよ。
PS:猫の缶詰の一遍も考えさせられました。著者の飼い猫の缶詰の一ヶ月分の金額は5,000円、それを作るタイの工場の女性従業員の給与は15,000円で、猫の食費は女性従業員の三分の一。お金の価値の問題もあるので一概には言えないが、何だか変な気分がするのであります。