麺を究める日記

麺の探求がライフワーク

わが家の夕めし(池波正太郎)

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この本は池波先生の超多忙時期にあちこちに書かれたエッセイを集めた物であります。

 

氏の生きた時代背景やその周辺の人々を通じて氏の人となりがわかる。

 

衣食住についての氏の考え方が書かれているものと思っても良いと思います。

 

『わが家の夕めし』

 仕事がつまってきて七日も十日かも外に出られないときは、食べることと
ねむることが、何よりのたのしみになってしまう。  私は決して、ぜいたくなものを食べようとはおもわないが、やはり毎日、
変化したものが食べたい。家人が毎日料理に苦しむことはよくわかっている
ので、私の日記には、毎日食べた物が記してある。おいしかった食べものに
は赤の二重丸がつけてある。食べもの以外のことは別に記していない。  こうして8年かの記録があるから、今日の夕飯は何にしようか、おもいな
やむとき、家人が、この日記を開けば、かなりの励みになるはずだ。 この写真のように、母、家人とそろって夕飯を食べることはめったにない。
時間の関係で、私ひとりのことが多いのだが、食膳にのせられたものは、平
常そのままの献立である。 とろろ飯のとき、いつもは一杯のごはんが二、三杯になってしまう。 おもいがけぬときに、こいつを出してくれると、まったくうれしくなる。 (アサヒグラフ・昭和四十六年十月一日号)
画像がないのが悔しいです。