つむじ風食堂の夜(吉田 篤弘)
タイトルが良いなと思い手に取った「つむじ風食堂の夜」です。
食堂という章から始まる。
食堂の皿やコップ、お店の中の様子が実に巧い文書で描かれていた。
そして、食堂の外の様子が描かれる。
食堂は、十字路の角にぽつんとひとつ灯をともしていた。
私がこの町に越してきてからずっとそのようにしてあり、今もそのようにしてある。
十字路には、東西南北あちらこちらから風が吹きつのるので、いつでも、つむじ風がひとつ、くるりと廻っていた。くるりと廻って、都会の隅に吹きだまる砂粒を舞い上げ、そいつをまた、鋭くはじき返すように食堂の暖簾がはためいていた。
文章は良い出だしです。
何とも不思議で、コンパクトな舞台を見ているような本です。
2009年に映画化されていたんですね。